大分合同新聞報道によると・・・・「12月大分市議会本会議最終日で「家庭ごみ有料化は認める。ただし、『3年ごとの制度見直し』をすること」来年11月からの家庭ごみ有料化を目指し、関連条例改正案を出した市に議会が下した決断は、制度に“縛り”をかけたものだった。委員会での審議は会派内の協議も含め計10時間以上。紛糾した理由は、有料化の必要性や目的に関する市の説明が市民の理解を十分に得られていない点にある。
県内では大分、中津の2市を除く全市町村で導入されている有料化。大分市は2011年末、「ごみ減量・リサイクル」と「処理費負担の公平性確保」を目的に市清掃事業審議会に諮問。13年2月、有料化を妥当とする答申を受けた。住民説明会などで「高すぎる」「税金との二重取り」といった声が寄せられたため、最終計画で手数料を1リットル1円から0.7円に引き下げ。おむつ利用の家庭への負担軽減措置なども盛り込み理解を求めたが、今議会では「有料化に頼る前に減量の努力の余地がまだある」「いつまでにどれだけごみを減らすのか目標を示すのが先」などの指摘が相次いだ。
大分市の家庭ごみ有料化が来年11月からスタートする。市民が新たな負担を背負うことになるが、収益の使い道など不明確な点が多い上、ごみ処理の現場では道半ばの民間委託といった問題もある。導入に向けた課題を探った。大分市はごみ袋は10枚1組で、大(45リットル)315円、中(30リットル)210円、小(20リットル)140円、特小(10リットル)70円、ミニ(5リットル)35円。負担軽減措置として、2歳未満の子どもがいる家庭への支給(年間で小袋を最大100枚)も。市は1世帯当たりの年間負担額を2436円と見積もっている。
県内では各市町村で自治体の直営によるごみの収集運搬を、より経費を抑えられる民間業者への委託に切り替えている。宇佐市、日田市など100%近くに達しているところもある一方で、大分市はごみの重量ベースで約50%にとどまる。直営の車両は現在47台。来年度はうち20台分の業務を委託し、委託率を75%に上げる方針だ。有料化に伴う市の手数料収入見込みは年間約4億7千万円。12月の定例市議会では「市民にそれだけの負担を掛ける分、市も経費削減努力をもっと進めるべきだ」との指摘が寄せられた。ただ、市は「災害時などに出動できる直営車は必要」(清掃業務課)とし、委託を今後どれだけ進めるかの見通しは示していない。
もう一つの課題が現業職員の再配置だ。収集に携わる職員を本年度、147人から113人へと減らし、ステーションのパトロールや不法投棄に対応する清掃指導員を16人増やした。指導員は住民にチラシを見せて分別の仕方を助言するなどきめ細かな支援で減量化を後押しするが、収集業務とは勝手が違うだけに「成果を出していくしかない」と市は実績づくりに懸命だ。市民からは市内に約1万700カ所あるステーションの管理について、「収集車が来る時間が遅いためカラスに荒らされて困る」(鶴崎地区住民)といった苦情もある。市は「有料化による手数料収入の一部をステーション整備やネット設置に掛かる費用の補助に充てたい」などと新たな支援策を掲げ、今後、具体的な内容を詰めていくという。
市の計画では年間の手数料収入からごみ袋製造費などを除いた分(約2億2千万円)について、半分をごみステーションの整備助成やリサイクル啓発費に充て、もう半分をごみ処理施設整備のための基金に積み立てる。だが、使い道に関してはそれ以上の具体的な金額を示していない。特に基金の設置は市の諮問機関からの答申でも提言されておらず、今月の市議会では「施設整備のための有料化であれば当初、説明した導入目的と違う」「市民への説明が足りない」と批判が相次いだ。
市清掃施設課によると、2007年稼働の福宗環境センターリサイクルプラザが約3年後に改修時期を迎え、基金を「約3億円かかる経費に役立てたい」としている。ただ、その他に大規模な改修や建て替えなどが差し迫っている施設は今のところない。有料化により、市は家庭ごみの排出量が16~18%減る―と試算する。導入済みの他自治体でも1~2割の減量につながっており、継続して排出量を減少させるため、分別方法の啓発活動や生ごみ処理機の購入補助などでてこ入れを図っているところもある。ごみ減量に結び付けるためには、家庭での分別の徹底が不可欠。「環境を守るためなら有料化による負担も分別を徹底することもやむを得ない」(大道町、60歳主婦)との声もある。市は来年11月の有料化スタートまでに687自治会に制度の説明をする方針だが、市民の理解を得るためにも収入の使途や減量につなげるための手だてをより丁寧に示し、リサイクルに対する地域社会の関心を高めていくことが課題となりそうだ。