第1回定例大分県議会は2月26日、本会議を開会。会期を3月27日までの30日間と決めた後、2014年度一般会計当初予算案(総額5918億2千万円)、農地集約を進めるための農地中間管理事業等推進基金条例の制定案など計52議案と報告1件を上程。広瀬勝貞知事が提案理由を説明した。冒頭に県内各地に影響を与えた雪害に触れ「農林業で現時点で12億円を超える被害となっている。復旧・再生に向け、緊急に金融支援と施設の復旧助成をしたい」と述べた。
当初予算案の柱に据えた景気・雇用対策について「4月からの消費税率引き上げを見据えて14年度を景気浮揚の正念場と捉え、農林水産業、商工業の底力をつけ、景気を前向きにけん引していく。県民が景気の回復、雇用の拡大を実感できるよう対策を講じる」と強い決意を示した。14年度を長期総合計画「安心・活力・発展プラン2005」の仕上げの年と位置付け、▽農林水産業の構造改革▽芸術文化の興隆とスポーツ振興―などに全力で取り組む考えを強調。さらに新たな政策展開として、東九州自動車道の延伸を見据え「(豊予海峡を通る)第二国土軸構想や東九州新幹線構想について、将来の発展に向けてどう取り組むのか検討する時期が来たのではないか」と述べた。
知事の提案理由要旨
26日に開会した第1回定例大分県議会の本会議で広瀬勝貞知事が説明した提案理由の要旨は次の通り。 【県政執行方針】 県内景気は一部に緩やかな持ち直しの動きがあるものの、なお厳しい情勢が続いている。4月からの消費税率引き上げも見据えて2014年度を景気浮揚の正念場と捉え、農林水産業や商工業の底力をつけ景気を前向きにけん引していく。 【一般会計当初予算案の概要】 県民が景気回復、雇用拡大を実感できるよう対策を講じるとともに、「安心・活力・発展プラン」の実質的な仕上げの年との思いで編成した。13年度比1.7%増、投資的経費は3年ぶりに1300億円台を確保するなど積極予算とした。
▽景気・雇用対策
県内総需要の喚起も含め防災・減災対策や社会インフラの老朽化対策に積極的に対応する。プレミアム付き商品券の発行は44億円に拡大。市町村も合わせ総額25億円の事業で1198人の新規雇用を創出する。
▽子育て満足度日本一の実現
待機児童解消のため私立保育所の増改築を支援し、632人の定員増を図る。保育士の確保に向けて「保育士・保育所支援センター」を新設し、保育所との橋渡しを進める。
▽農林水産業の構造改革
国のコメ政策が転換される中、農地中間管理機構を設立して農地集積を加速する。県域食肉流通センターを建て替え、県産牛・豚の輸出につなげる。乾シイタケの価格低迷を踏まえ、種駒や原木の購入費助成、消費・流通対策の強化をする。
▽女性が生き生きと活躍できる環境づくり
今後の経済成長の鍵を握る女性の就労支援や能力を発揮できる環境づくりに取り組む。職業訓練を受ける子育て中の女性に保育料支援や託児付き訓練を行い、就職活動時に利用できる無料託児サービスを別府、中津両市に拡大する。
歳入の主な内訳は、県税が5年ぶりに1千億円台を回復して1045億円。地方交付税1714億円、国庫支出金895億円、県債772億円など。
【新たな政策展開】
人口減少など環境の変化を捉えながら、課題に対応して新たな発展につなげる必要がある。高速道路がつながれば九州の東の玄関口としてポテンシャルが高まり、第二国土軸構想や東九州新幹線構想にどう取り組むか検討する時期に来たのではないか。新産業の創出などさまざまな課題を次期長期総合計画で検討したい。≪大分合同新聞から≫