大分合同新聞報道によると・・・・・『2014年産の米価が下落している。県農協が設定した1等米ヒノヒカリの60キロ当たりの概算金(農協入荷時の農家への前払い金)は前年比2820円減の8700円となった。コメの消費が落ち込む中、全国的に豊作基調になったことが要因。県内は価格が低い上に平年より収穫量が下がる見込みで、農家の経営環境は厳しさを増しそうだ。県農協は全国需要や民間在庫の状況を踏まえて価格を決める。今週公表された概算金は近年で最も低かった10年の9千円を下回った。県農協は「農家の厳しい状況を受け、九州・山口地域では把握できる範囲で高く設定したが、過去にない厳しい実態には変わりない」とする。
コメは民間業者も集荷する。農協の概算金より数百円ほど高めに設定するのが一般的だが、県内のある業者は「今年は全体的に業者の動きが鈍い」と明かす。九州農政局大分地域センターが9月15日時点で調べた県内の作況指数は98の「やや不良」。農家の現場では、高品質の米を出荷する目的でセンターより厳しい基準で評価・選別する。実際の収穫量はさらに減るとの見方もある。生産者は「これほど低いとは思わなかった。資材も高くなり専業農家はいよいよ続けられない」と懸念する。
平野部などで飼料用米の価格の方が上回る“逆転現象”も起きそうだ。国は主食用米からの転換を図る目的で、飼料用米に10アール当たり最高10万5千円を支払う制度を導入している。
状況を踏まえて県農協は農家所得確保の独自策を始める。一定量以上を入荷した場合、量に応じて段階的に奨励金を支払うことを決めた。農家の救済には国の収入減少影響緩和(ナラシ)対策があるが、作付け見込み面積が2万2700ヘクタールなのに対し、申請のあった面積は10%程度の2268ヘクタール。県は今年に限り同制度の基準が緩和される円滑化対策の周知に力を入れる。県集落営農・水田対策室は「国のコメ政策見直しなど水稲の現場は大きな変化が見込まれる。しっかり状況を見極めたい」としている。
〈 メモ 〉
農水省が7月に公表した全国の需要見通しは777万9千トン。主食用米の予想収穫量は789万9千トンのため供給過剰になる見込み。民間の販売店や農協などの抱える在庫は6月末時点で222万トンとされている。県産米の価格は東日本大震災の発生した2011年から一時的に高まっていた。 ※この記事は、10月4日大分合同新聞朝刊5ページに掲載されています。