「解散のタイミングについては何ら決めていない」という言葉から一転、安倍首相が解散・総選挙を行うことを決断した。なぜこのタイミングなのか、そして与党が勝った場合、何が起こるのか。なぜ、今なのか。「アベノミクスの雲行きが怪しくなってきたからです。先へ行けば行くほど、政権への風当たりは強くなる」 4月の消費増税後、政権の生命線である経済は、停滞が続く。来年10月に10%への再増税に踏み切れば、いっそうの景気悪化も心配される。
「いま勝てば4年間は総選挙をしなくていい。景気がさらに低迷しても『これから良くなる』と言っていればいい」 野党側は候補者擁立や選挙協力といった選挙準備が遅れている。9月の内閣改造後、不祥事で女性2閣僚が辞任に追い込まれたものの、内閣支持率はなお4割ほどを保つ。「総選挙で与党の議席は減る可能性が高いが、過半数は十分に維持できる」と専門家の多くは口をそろえる。 「議席減が50近くに達すれば来年秋の総裁選での再選は危うくなる」というリスクもはらむが、現時点では安倍晋三首相にかなり有利な情勢であることは確かだ。
与党が総選挙で勝った場合、何が起きるのか。まず焦点となるのが、消費税の再増税延期。安倍首相は各種の経済指標を踏まえて、12月上旬に消費税率を10%に引き上げる是非を判断する予定だったが、各紙の報道では、再増税を1年半延期し、解散・総選挙で国民に信を問うのだという。「アベノミクスで経済は好転しなかった」という批判を浴びかねないが、朝日新聞の世論調査では税率を「引き上げられる状況ではない」という回答が7割に上り、有権者の理解は得られるとの計算がありそうだ。
政府は、国と地方の「基礎的財政収支」の赤字を国内総生産(GDP)との比率で2015年度に10年度の半分に減らし、20年度にはゼロにするという財政再建目標を掲げる。ただ、内閣府の試算では、アベノミクスが大成功して順調に経済が成長しても、20年度になお11兆円の赤字が残る。再増税を延期した場合、15年度の消費税収は1.5兆円も減るという。はしごを外された形の財務省幹部は「本当は消費税率を10%に上げた後の議論こそ重要だったのに…」といらだつ。10%すら遠のけば、さらに増税するのか、高齢化で膨らみ続ける年金や医療といった社会保障費の削減に切り込むのかといった“その先の話”など進めようがない、というのだ。(文面はインターネットから引用部分あり)