振興局再編問題で・・・①

2014/12/27

上津江ホール

大分合同新聞では振興局再編問題で問題提起を行なっている。・・・・『地域に根差して 日田市からの報告①』・・・県内58市町村が18市町村に再編された「平成の大合併」から間もなく10年。1市2町3村が合併した日田市は今秋、旧町村役場に設置した5振興局を再編する方針を打ち出した。人口減や厳しい財政状況を見越して行政の効率化を図ろうとする市と、身近な行政が遠のき暮らしに不安を覚える住民。市町村合併は旧役場機能の再編という新たなステージに入るのか。日田市から報告する(5回続き)

傍聴席埋め尽くす・・ 10月21日夜、上津江振興局で開かれた上津江地区地域審議会は重苦しい雰囲気に包まれた。報道などで振興局が支所となる再編素案を知った地元住民が、傍聴席を埋め尽くした。原田啓介市長ら執行部は合併特例法に基づき設置された各地区地域審議会で、地元住民ら委員に再編素案を説明して回った。最も厳しい反応を示したのが上津江だった。

「今日、明日にどうこうする話ではない」「財源は減る中、行政需要が増しているから事務事業の効率化は避けて通れない」と理解を求める執行部に対し、「合併後の衰退を早めることになる」「地域のよりどころを失えば暮らしに不安を抱えることになる」 会場の雰囲気を反映したのか、委員はそろって反対の声を上げた。旧郡部に設置した振興局再編の素案は、上津江町、中津江村、前津江町、大山町、天瀬町を三つのエリアで捉える。中津江、大山、天瀬の各振興局を維持し、上津江は中津江の、前津江は大山の支所にしようとする。具体的な職員の人数や再編時期は未定とした。

1年かけ素案作成・・・ 再編の受け止め方にも温度差がある。同様に支所となる前津江町は「住民軽視にならないようにお願いしたい」などと控えめだ。振興局が残る地域では「仕方ない」「行政運営が厳しいのは分かる」と一定の理解を示す意見もあった。市は素案を1年ほど前から、担当課を中心に各振興局の事務量を洗い出し、関係課の意見を聞くなどして作成してきた。「地勢や住民の生活圏などの現状分析から3エリアに分けた。それぞれに核を置くイメージで効率的に業務が遂行できる」と説明する。3エリアは合併1市1圏域で、取り組む方針を決めた国の「定住自立圏構想」などとも連動させることを見据えているという。原田市長は「今後どうしていくのか、徹底的な議論をせずに合併したので今があるという思いもしている。住民と議論の場を積極的に設けたい」と話すように、市町村合併10年を総括しようという思いがある。

<メモ> 日田市の振興局再編素案は、振興局と支所のそれぞれに、住民の利用頻度が高い、収納業務、証明書発行などの窓口業務は残す。市道や公共施設の維持管理業務は振興局に集約する考え。事務量に合わせ、支所の職員数は現状よりも少なくなる見込み。災害時の対応や地域コミュニティーを維持するための対応策も講じていくとしている。 ※この記事は、12月27日大分合同新聞朝刊1ページに掲載されています。