大分合同新聞では振興局再編問題で問題提起を行なっている。『地域に根差して 日田市からの報告②』・・・ 日田市が提示した振興局再編の素案で、地域の振興局が中津江振興局の支所になると提案された上津江町住民のショックは大きい。「支所になって職員が減れば、火事の初動が大幅に遅れる。現在の体制の維持が最も望ましい」。市から素案の説明を受けた上津江地区地域審議会委員の嶋崎雄児さん(62)は語気を強めた。上津江振興局長も務めた元市職員だ。
ことし4月、自宅近くのシイタケ乾燥小屋が全焼する火事が発生した。旧町村部では振興局の職員が消防団に所属し、初期消火で重要な役割を担っている。小屋の消火に当たったのは市消防団上津江方面団員。中でも、振興局職員らでつくる機動分団が真っ先に火事現場に駆け付けた。地域住民は「地域にとって振興局職員は頼りになる」と口々に話したという。市は振興局を窓口機能しか持たない支所とした場合、災害に対応する体制も検討する。ただ、過疎化が進む地域で消防団の担い手不足は明らか。働く職員数が減れば、地域防災力の低下は免れない。
地域によって支所と振興局という“格差”を付ける素案に対し、「こういう提案の仕方をすれば、振興局の残る地域は納得するに決まっている」。上津江地区地域審議会では市の手法がやり玉に挙がった。嶋崎さんは「小中学校もそう。上津江が中津江に統合されるのを受け入れてきた。なぜ上津江がまた犠牲にならないといけないのか」という不信感もあるという。市が中津江振興局の移転先にしようとしている旧中津江小学校で進む改修工事にも言及した。「財政が厳しいなら、なぜ多額の費用をかけて改修するのか。比較的新しい上津江振興局でもいいのではないか。市の説明は納得いかない」と地域住民の声を代弁した。
「中津江の人が上津江に来ればいいとか。あちらに行きたくないとかそんな問題じゃない。反対することで地域内に角が立つのは避けたい」。嶋崎さんは旧町村部の自治会長35人に話し合いの場を持とうと呼び掛け、年明けには現在の5振興局体制の維持を求める心づもりだ。 ※この記事は、12月28日大分合同新聞朝刊1ページに掲載されています。