大分合同新聞では振興局再編問題で問題提起を行なっている。『地域に根差して 日田市からの報告③』・・・・「住民組織を例に」・・・振興局再編を打ち出した日田市は、地域住民の不安を解消するための施策も同時に示した。災害や緊急事態に対応する体制構築や地域活性化のために中間支援組織を設置、地域おこし協力隊や集落支援員を増員するのが柱。いわばコミュニティーの力を高め、公助を強化しようという狙いだ。各地域の説明会で、市は中間支援組織のモデルとして住民相互の有償ボランティア事業「NPOつえ絆くらぶ」を例に挙げた。2013年3月、市の提案で市内中津江村の住民を中心に発足。庭の枝切りやまき割りなどの依頼に対し、対応できる地元住民の会員が請け負う。上、中津江の独居老人宅を中心に、10月末までに195件を受けた。
また、市は来年度から協力隊と支援員を上、中、前津江それぞれに少なくとも一人ずつ配置する方針。というのも現在、市内唯一の協力隊員として上・中津江地域で活動する河井昌猛さん(41)の活躍がある。高齢者宅の訪問や集落の草刈り、祭りの手伝いなど、今や地域にとって欠かせない存在。地域づくりに加え、特に高齢化が進む旧郡部で常日頃から見守り活動ができる人材は貴重だ。
「市が放棄」の声・・・市は協力隊と支援員の組織的な配置に向け、振興局を通して住民ニーズを吸い上げている。絆くらぶの設立段階から関わってきた河井さんは「大切なのは地元で志のある人が自主的に手を挙げ、参加していかないと続かない」と指摘する。「異動がある市職員が地域づくり全てにおいて適任かというとそうではない。国の事業である協力隊や支援員の制度がなくなることも見据え、将来的には民間セクターをつくる構想もある」と原田啓介市長。一方、振興局再編で地域には「市が旧町村の地域づくりを放棄する意味にも取れる」という声があるのも事実。地域に住み続けるための方策を、住民と行政の双方でどう構築できるかが問われている。
地域おこし協力隊・集落支援員・・・・ 「地域おこし協力隊」は、都市地域の住民を、人口減少や高齢化が進んだ地域に受け入れ、地域の行事、生活環境維持などに携わりながら、定住、定着を図る取り組み。市が委嘱する。委嘱期間は1年以内。最長3年まで延長可。「集落支援員」は、地方自治体が地域の実情に詳しく、集落対策の推進に関してノウハウを有する人材を委嘱する。集落の巡回、状況把握、住民と市町村の間での話し合いの促進などをする。いずれも国の事業で、特別交付税措置の対象となる。 ※この記事は、12月29日大分合同新聞朝刊1ページに掲載されています。