大分合同新聞では振興局再編問題で問題提起を行なっている。『地域に根差して 日田市からの報告④』・・・・「担当課に聞いて」・・・ 「自治会単位でヒアリングするなどして、素案を検討するのが本来のあり方ではないか」・・・ 日田市上津江町と同様に、振興局再編の素案で支所となることが示された前津江町。町内で農業を営む男性(64)は困惑した表情を浮かべた。市から素案の説明を受けた審議会後の10月末、思いを同じくする住民と一緒に振興局の存続を求める要望書を提出した。
合併後から地域の衰退を実感するようになった。職員を含め転出者が増え、学校は統合、今年に入って郵便局は簡易郵便局になった。目に見える変化だけでなく、役場時代に比べ、職員との距離が遠のいたとも感じている。この男性は「役場時代は道路の改良状況とか今後の方針とか、地元に密着した情報が日常的に得られた。現在は地元出身の職員が減り、財源や権限もない。『本庁担当課に聞いてくれ』と言うしかないのか」と物足りなさを感じる。「人数がいれば、距離が埋まるものでもないが…」とこぼした。
条例「市民を主体」・・・ 「法律に規定された業務とそうじゃない部分をしっかり精査して…」という審議会での原田啓介市長の発言が印象に残っているというのは上津江地区地域審議会委員の池辺まゆみさん(54)。「旧町村の祭りの手伝いは職員の仕事でないなら、旧市内で開かれる大きな祭りはどうなのか。地元出身ではない職員が地元に溶け込む機会にもなっているのに」と訴える。4月に「市自治基本条例」が施行された。条例は「市民の権利及び責務、市議会及び市長等の責務を明らかにし~互いに理解を深め信頼し合う関係を築くことで、市民を主体としたまちづくりの実現を図ることを目的とする」とある。市町村合併からさらに振興局の再編へ―。前津江地域住民は、本来必要とされる市との信頼関係が損なわれることを危ぶんでいる。 ※この記事は、12月30日大分合同新聞朝刊1ページに掲載されています。