熊本県を中心に広域で発生した地震について、気象庁や地震の専門家からは、「活断層」が引き起こす地震のメカニズムから考えて、今後、周辺地域で、さらに大きな地震が起きる可能性も否定できないという声が出ている。通常なら、「強い余震に注意する」ということだけでも被災地はストレスが増すが、今回は強い地震のあと、さらに「本震」が襲うなど地震活動の予測がつかず、地域住民の不安はさらに高まっている。
今回の地震は異例の経過をたどった。2016年4月14日21時26分に熊本地方を震源としたマグニチュード(M)6.5、最大震度7の地震が起きた。だれもがこれを本震と位置付け、その後の「余震」に警戒を続けた。ところが、1日以上だった16日未明の1時26分、7.3、最大震度6強の地震が再び熊本を襲った。気象庁は16日午前の記者会見で、14日を「前震」、つまり地震の前触れとし、16日の地震を「本震」と定義し直し、驚きが広がった。
その後、熊本県の阿蘇地方や大分県でもM5クラスの地震が起き、震源は北東方向に広がっている。16日に記者会見した気象庁の地震予知情報課長は「いままでの経験則から外れている」などと語り、今後の地震活動についても「どうなっていくのかわからない」と述べるなど、地震発生が収束の方向に向かうかどうか明言を避けた。今回の地震の異例さは、気象庁が発表した、最近の主な大地震(内陸および沿岸部が震源)の余震の回数を比較したグラフからもはっきりとしている。
今回とマグニチュードが同規模の阪神大震災をはじめ、多くの地震は、最初の地震から1日ほどたつと、地震の回数は急激に減り、グラフは平らに近くなっていく。しかし、今回の熊本地震だけは、14日の「前震」の後、やや平らになったものの、16日に「本震」が起きると、その後、地震の累計回数が急上昇し、右肩あがりのままとなっている。17日午前の気象庁の発表でも、「熊本県から大分県にかけて活発な地震活動が続いています」として、地震が収まっていく可能性には言及していない。