厚生労働省は、私立保育所に勤める保育士の給与を4月から引き上げる方針を固めた。具体的な額は各施設が個別に決めるが、最大月1万円程度上乗せされる見込みだ。私立保育所の保育士は公立保育所や他業種に比べて給与が低水準になっているため、待遇を改善して人材を確保し、子育て支援充実や待機児童解消につなげる。2012年度補正予算案に計上する保育士確保対策費438億円の中から必要経費を捻出する。都道府県に設置している「安心こども基金」に積み増し、各保育所に運営費として支給する。
保育園の経営は基本的に単年度での予算です。国庫や地方自治体からの収入はその年に使い切ることが基本です。その年に入った子どもの人数に応じた収入と保育士の配置が必要ですが,雇用の問題の原因は、子どもの年齢によって一人当たりの金額が大きく違うことです。翌年度には、進級するわけですから、同じ収入を保てません。加えて、同じ必要保育士配置数とは限らないのです。卒園した子の代わりに入ってくるこどもが、進級して減額になる差額の全てを埋められるわけではないのです。
時として、いわゆる雇用の調整が必要になるから、不安定な雇用形態になります。また、保育に必要な経費は、こどもの人数の変化に比べて変わりません。そうなれば、給与ベースを引き上げてしまっては、もしもの時に対応が難しくなります。保育園では、給与規定が設定されていますが、給与規定が決まっていれば、今年は苦しいからと簡単に引き下げられません。一般企業のように、賞与が業績によって大きく変化させることも難しいことになっています。
国も対応策として、利益の翌年度繰り越しの緩和を進めていますが、一般企業と違って、ハードルは高いので、下げる必要がありますが、保育園側の収入の性質は、基本は原資が税金ですから、限度はあると思います。こどもの年齢と人数に合わせた計算方法は、保育単価と言われますが、その制度自体が変われば、雇用の問題は少なからず解消されると思います。(写真は日田市内の保育園ではありません)