18歳選挙権へ「主権者教育」の授業 日田高生徒が模擬選挙

来年夏の参院選で実現する「18歳選挙権」をにらみ、選挙制度を学び模擬選挙などを実施する「主権者教育」の公開授業が29日、日田市の日田高校であった。県高校教育研究会の活動の一環で、参加した教員らは授業を踏まえて主権者教育の在り方や政治的中立性をめぐって意見を交わした。

授業は2年生の政治・経済科目の時間で行われ、公民を担当する高校教員らが参観した。選挙制度や投票率の推移を振り返った後、「参院選日田高選出議員選挙」を想定した模擬選挙をした。県選挙管理委員会の職員も立ち会った。生徒3人が候補者に扮(ふん)し「選挙公報」を掲げ「市民討論会」や「候補者演説」で主張を訴えた。候補者の一人となった宇野正崇さん(16)は「模擬選挙を通じて日本の課題が分かった。自分たちの投票に向けて実感も湧いた」と話した。

授業を担当した賀来宏基教諭によると、政治的中立性を考えて、授業の資料には実際の政党のマニフェストなどを避けたり、具体的な政策に関する生徒の質問には両論で答えるといった工夫をした。「モデルケースがない中、生徒が主体的に考える」授業を準備したという。

県教委は、11月以降に生徒へ配布される主権者教育の副教材や、高校生の政治活動に関する国の通知を踏まえ、県内の主権者教育の指針を出す予定。授業後の教員らによる反省会では「一番の議論は政治的中立性の確保だ」「これまでの政治・経済で教えていた内容とこれからの『主権者教育』はどこが違うのか」「指針や詳しいガイダンスがほしい」などの声も上がった。   ※この記事は、大分合同新聞に掲載されています。